機械バカ一代

機械モノおたくのたわごと。

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MV-22オスプレイに対する誤解と正解。

mv22_osprey_autorotation.png

さて、久しぶりの更新ですが・・
ここ数年、話題となっているMV-22オスプレイのお話。

なにやらWEBとかTVなどで皆さん「危険な機体」とか「未亡人製造機」とか言われているようですが、
見たり聞いたりしていると、あまりに論点がズレている気がしてなりません。。

つまり、MV-22オスプレイという航空機そのものは欠陥機でも駄作でもなんでもなく、
問題は、それを運用する人間の側にあるんですよ・・という機械バカが機械を弁護するお話です。








殺人機とまで言われているオスプレイですが、その根拠を聞いてみると、



・オートローテーション機能が無い、又は貧弱。
・転換モード中に事故が多発。
・ボルテックスリング(セットリング・ストール)に陥りやすい。
・FAAの形式証明を取得していない。

米国防分析研究所の元主任分析官が告発したV-22オスプレイの本質的欠陥

と題するページを見てみると・・

・オートローテーション機能が欠如し、全エンジン停止時に安全に着陸できる能力がない。

・両ローターによって作り出されるボルテックスリング(過流輪)にはまりこんだとき、
V-22の操縦システムでは対応できず、突然機体が横転(不意自転)する危険性がある。

・横方向の操縦に関して、PIO(パイロットの操縦操作に起因する機体の過大な反応)が発生しやすい。

・左右両端に配置された重いエンジンとローターシステム、艦載用途のための複雑な折畳機構など、
V-22固有の複雑で脆弱な構造のため、飛行時の駆動系の振動が増幅されて
油圧・電気・機械ケーブルなど機体各部に深刻な影響を与え、不具合が生じやすい。

・激しい気流を発生させ、近接して飛ぶ他機にトラブルを引き起こす。

・吹き下ろし気流速度が従来のヘリコプターの2倍になるため、
砂漠や水上でのホバリングで砂や土埃,水を高くまき上げ、視界不良での墜落事故や、
機器やエンジンのトラブルを起こしやすい。

( ̄∧ ̄)(_ _)フムフム・・・・・と普通の人だったら納得してしまいそうです。

・・・が、σ(⌒▽⌒;) ボク・・は、全く納得できません。

まず・・・「オートローテーション機能が欠如し、全エンジン停止時に安全に着陸できる能力がない。」

防衛庁の資料にあるように、オートローテーション機能はあります!!
・・が、別に必要ないでしょ・・・・もともと「さらなる安全のために追加した機能」なんですから。
「全エンジン停止時に安全に着陸できる能力がない。」
・・・・・この一文に関しては、非常に理解に苦しみます。。。
もともと、全エンジン停止時に安全に着陸できる能力がなければ、それは航空機ではありません。
当然、軍に採用される訳もないんです。。(なんでそれが解らないかなぁ。。。。)

では、Wikipediaからオスプレイの諸元を見てみましょう。


失速速度: 110 kt (204 km/h)(固定翼モード)とあります。

つまり、いきなりエンジンが2つとも停止してしまったら、
対気速度110kt以上を維持して滑走路に滑り込めばいいんです。
普通の航空機のパワーオフランディングと何ら変わる事はありません。。

Σ(- -ノ)ノ エェ!?・・時速200km/hで着陸すんの??
という声が聞こえそうですが・・

一般的な旅客機の着陸速度も、こんなもんです。

767=145kt前後=260km/h前後
747=155kt前後=280km/h前後
737=135kt前後=250km/h前後


だって、そんな事したらプロペラが地面に接触してバラバラになって飛び散るじゃないか!!!
という人が居るかもしれませんが・・・

そのために、オスプレイのプロペラは、曲がったり、
ささくれだっても、バラバラにはならないように出来てます。

また、この失速速度(Vso)は固定翼モード中の話です。
転換モード中であれば、プロペラが地面に接触する事もありませんし、Vsoもさらに下がるはずです、
(ナセル角度とV.soに関する詳細なデータが無いので、正確には言えませんが・・)

つまり、結論を言えば、

「エンジンが2つとも停止した、という緊急事態の場合には、高度と速度によって、
滑空着陸を取るか、オートローテーション着陸を取るのか、2つの選択肢があるという点においては、
そのどちらか一方しか持たない、飛行機やヘリコプターに比べれば安全性は高い。」

とも言える訳です。。

その次に・・・

・「両ローターによって作り出されるボルテックスリング(過流輪)にはまりこんだとき、
V-22の操縦システムでは対応できず、突然機体が横転(不意自転)する危険性がある。」

( ̄ヘ ̄;)ウーン・・・・・・・

突然機体が横転(不意自転)する危険性がある。というのは納得できるんですが・・
V-22の操縦システムでは対応できず、というのはねぇ。。。。

「じゃあ、他の航空機には、そういう操縦システムはあるのか???」

・・・ありません。。。(*≧m≦*)ププッ

これは、どういう状況かと言うと所謂、無風時のホバリングから垂直降下したような状況で、
たまたま片方のローターのみが、
ボルテックスリング(過流輪)にはまりこんで揚力を失ったような場合ですね。

構造上ボルテックスリング(過流輪)にはまり易い、というのは確かですが、
それはナセル角度を変更できる構造上、致し方のない事です。

単にボルテックスリング(過流輪)にはまり易いのが悪い・・という話なら、
未だに現役で飛んでいるベル47なんて、どうなっちゃうんでしょうか???

簡単に言えば・・

そんな状況に陥る事自体がバカ・・・としか言えない。。

これは、ヘリコプターでも.
ホバリングから垂直降下で降下率とローターの吹き下ろし量がバランスするような、
降下をすれば、一瞬でボルテックスリング(過流輪)に入って、そのまま地面に激突ですし・・
また、風上から風下へ向かって風速とバランスするような旋回を行えば、
簡単にテールローターがボルテックスリング(過流輪)に入って、横転ではなく旋転しながら墜落する、
所謂LTE(Loss of Tail-rotor Effectness)に陥ります。

どちらの場合も、そこから抜け出す為には、ボルテックスリング(過流輪)を吹き飛ばせるだけの速度で、
ヘリコプター自体を落下させるしかありません、
つまり、これが低い高度で起これば抜け出す手段はありません。

参考:沖縄県ホワイトビーチ朝日航洋株式会社ベル206L-3型事故

つまり、この特性は別にオスプレイという機体の欠陥ではなく・・
回転翼機なら、(Kamovは別として)どれでも持っている特性と言えます。
そして、突然機体が横転(不意自転)したとしても・・・
その姿勢から回復する事ができる高度(時間的余裕)を維持しているという条件下では、
フラッペロンとラダーを持っているオスプレイであれば、
たとえ背面まで横転しても抜け出せるはずです。
反面、一般的なヘリコプターでは完全に背面になってしまえば、
そこから自力で正常な姿勢に戻す事は「ほぼ不可能」と言えます。

と・・いう事は、先のオートローテーションと同様、対応選択肢が多い分、
オスプレイの方が、安全性が高い気がするんですが・・・??


・横方向の操縦に関して、PIO(パイロットの操縦操作に起因する機体の過大な反応)が発生しやすい。

これは、また難解な訳文ですね。。。

おそらく、これはVTOLモード時の挙動を言っているのだと思われますが。。
横方向の操縦というのが、ヨー軸の事なんだか、ロール軸の事なんだか・・・
たとえば・・「ロー軸のバンク角10度くらいを取って、真横にカニのように移動しよう。」
なんていう機動をしようとすれば、当然・・・PIOは発生しやすくなります。

だって、そんなの航空機の動きじゃねーもん。。。

仮にヨー軸の話だったとしても、その答えは先の沖縄県ホワイトビーチ事故と同様、
そもそも、低速時の航空機というのは、外界の環境、特に風向きに関しては脆弱なもんです。
これは、ジャンボジェットでも救難ヘリでも同じ事。

まぁ、こういう難解なコメントそのものが、乂(>◇< )ダメ!・・・ですね。

・左右両端に配置された重いエンジンとローターシステム、
艦載用途のための複雑な折畳機構など、V-22固有の複雑で脆弱な構造のため、
飛行時の駆動系の振動が増幅されて油圧・電気・機械ケーブルなど機体各部に深刻な影響を与え、
不具合が生じやすい。

なんか、これもまた・・・・・

まぁ、それこそ素人さんは、( ̄  ̄) (_ _)うんうん・・・と納得しそうですが。。。
少なくとも、機械の製造開発プロセスを知っている人間が聞いたら笑っちゃうコメントです。

もし、これが事実だとすると、
どっかの自動車メーカーが前輪が取れちゃう車を平気で売っちゃったのと同じレベルの話です。
ちょっと考えれば、いわゆるMILスペックとはなんぞや・・という事ですから、
とても、これが米国防分析研究所の元主任分析官の発言とは思えません。。

艦載用途のための複雑な折畳機構などは、
当然、数千から数万回(製品寿命による)の繰り返し実験でエラーの発生率を検証していないと、
正式採用には至りません。

また、飛行時の駆動系の振動が増幅されて
油圧・電気・機械ケーブルなど機体各部に深刻な影響を与えちゃうなら、
実験機の段階で、ちゃんと振動解析をして
油圧・電気・機械ケーブルなどのマウント方法を検討していない事になり、

そんな・・どっかのバイクメーカーだって市販前にやっている試験を
ボーイングという航空機メーカーが、しかも軍用機で・・試験しないはずが無い。。。

いやあ・・だんだん、この元記事そのものが、胡散臭くなってきましたが。。

ついでに、「FAAの形式証明を取得していない。」というコメントの根拠にも触れておきましょう。

そもそも、FAAの形式証明というのは「民間機」に与えられるもので、
「軍用機」が取得する必要はありません。
さらに「軍用機だから安全性を犠牲にしても・・」というコメントも聞かれますが・・・

・・それが、そもそもの大きな誤解・・・

軍用機というのは、最も安全な航空機なんです。。

なぜか???

「被弾して緊急着陸する事を前提として設計するから」です。

同じボーイングの747と737が民間航空機としては異例のロングセラーを記録し続けているのも、
「もともと軍用機として設計されたから、」ですし、
航空自衛隊が未だにF4EJを使い続けている事からも、
軍用機の耐久性、安全性の高さが解ろうというもんです。

例えば、747などは「全四重コントロール保証」というシステムで、
油圧、電気系統は4重の安全が保証されています。
そのため、御巣鷹山墜落事故で発生した、全油圧喪失という状況に関係者一同がショックを受けた訳です。

さて、話をオスプレイに戻すと・・

事故率が高い、というコメントの中に「クラスAの事故は確かに少ないけど、
クラスB、Cの事故は多いじゃないか!」
という物もあります。

そして、このクラスB,Cの事故というのが、主にこの
「左右両端に配置された重いエンジンとローターシステム、
艦載用途のための複雑な折畳機構など、V-22固有の複雑で脆弱な構造のため、
飛行時の駆動系の振動が増幅されて油圧・電気・機械ケーブルなど機体各部に深刻な影響を与え、
不具合が生じやすい。」
という「米国防分析研究所の元主任分析官と言われる人」の発言にも関わる事なので、
もう少し細かく解説。

このB.Cクラス事故というのは、H.W.ハインリッヒの産業災害防止論、

「1つの重大な事故の背景には、29個の軽微な事故と、
300個の事故になる危険性を秘めた出来事が潜んでいる。
 またこれらの事故・出来事の88%が不安全な行動により引き起こされ、
10%が不安全な環境によって引き起こされている。」

でいう所の、29個の「軽微な事故」に分類される事故と解釈されます。

実際のクラスC事故というのは・・・

・整備士が整備中に作業台から転落して負傷。
・立て掛けていた梯子が外れてローターに当たり損傷。
・整備中にナセル操作を間違えてローター破損。

重大と言われる、クラスAの事故では、

・2009年2月2日、CV-22オスプレイが飛行中に左エンジン異物混入、片肺飛行で安全に着陸。
・2011年7月7日、MV-22オスプレイが飛行中に後部貨物ランプからクルーチーフが転落、死亡。

ちなみに、左エンジン異物混入の異物とは整備士が置き忘れたボルトでした。

あのなぁ・・・・と言いたくなってきます。

要は、

「左右両端に配置された重いエンジンとローターシステム、
艦載用途のための複雑な折畳機構など、V-22固有の複雑な構造のため、
既存の整備士は、ちゃんと整備マニュアルを読む暇もなく、
油圧・電気・機械ケーブルなど機体各部に深刻な影響を与え、不具合が生じやすい。
おまけに、クルーはハーネス付けるのも忘れちゃうんだぜ。」

の間違いですよね・・・・ねぇ、米国防分析研究所の元主任分析官さん。

ちなみに、「オスプレイの事故映像」として紹介される、この動画。。




原因は操縦系統のロールレイト・ジャイロの配線が逆に接続されていた整備ミスと判明しています。

さて、お次は、2つ纏めて行ってみましょう。

・激しい気流を発生させ、近接して飛ぶ他機にトラブルを引き起こす。

・吹き下ろし気流速度が従来のヘリコプターの2倍になるため、
砂漠や水上でのホバリングで砂や土埃、
水を高くまき上げ、視界不良での墜落事故や、機器やエンジンのトラブルを起こしやすい。

言葉は違えど、2つとも機械の側から見れば同じ話です。


陸上自衛隊のCH-47チヌークでも、2005年のスマトラ沖地震の救援の際、
空き地に着陸した際に民家の屋根を吹き飛ばし木を倒し現地民間人の負傷者を出しています。

参考:陸自ヘリの風圧で2人けが・スマトラ島で医療支援:日本経済新聞(2005年2月3日)
 
インドネシア・スマトラ島西海岸のトゥノムで、2日午前9時半(日本時間同11時半)ごろ、
医療支援に訪れた陸上自衛隊の大型輸送ヘリ(CH47JA)が空き地に着陸した際、
回転翼が起こす強風で近くの民家の屋根を損壊した。
現地の陸自によると、地元の子供が首を負傷したほか、倒れた木で1人が腰を打った。

確かに、吹き下ろし気流速度が従来のヘリコプターの2倍になるのは事実です。
CH-47でも民家の屋根を吹き飛ばし木を倒し現地民間人の負傷者を出している訳で、
オスプレイでは、あと二件くらいは吹き飛ばせそうです・・・が。

だから何??

だって、これは回転翼機としては当たり前の話なんです。
強いて言えば、陸自のCH-47が着陸する時にボォーっと立っていた人が悪い。。

単純な物理の話をすれば、機体が揚力を保つ為には
「機体の質量に見合うだけの空気を下に押し下げないといけない」
訳ですから、それだけ強風が吹くのは仕方がない。
これが駄目と言うなら、回転翼機すべてを否定する事になります。

では、「砂漠や水上でのホバリングで砂や土埃、水を高くまき上げ、
視界不良での墜落事故や、機器やエンジンのトラブルを起こしやすい。」
に関して言えば・・・・砂や土埃、水を高くまき上げるのは事実でしょう。
しかし、視界不良での墜落事故っていうのは、どうかなぁ・・・・・・・・

中には、「空間識失調(いわゆるバーディゴ)を引き起こす。」
というコメントもありましたが、
この空間識失調、航空自衛隊全面協力で撮影された、稀代のヘンテコ映画、

BEST GUY: 

の中では、非常に恐ろしい物のように描かれていましたが・・
航空機を操縦してりゃ、良くある話です。。。( ̄o ̄;)ボソッ
あまり、良い事ではない事は確かですが、そう珍しい話じゃありません。

ましてや、夜間や強風の中での作戦を強いられる特殊任務が主な役目のパイロット達でしょ??

-----------------------
【参考】滑空機操縦基本ガイダンスより:

空間識失調時の対処法:
航空機は、本来すべての操作機器から手と足を離した場合には水平を保つよう設計されている。
自分の感覚と飛行計器の指示に違いが生じた際は、基本的には計器を信頼して機を水平に戻し飛行をすべきである。
-----------------------

つまり、離着陸時に空間識失調を感じた場合には、即時に計器飛行に移行する、
という程度の力量がないとオスプレイやCH-47の操縦は出来ないのは当然な話なんです。
視界不良での墜落事故を起こすようじゃあ・・・最初から軍用機を操縦する資格はない、とも言えます。

そして、激しい気流を発生させ、近接して飛ぶ他機にトラブルを引き起こす。

・・・・後方乱気流、(Wake turbulence)は、どんな航空機にも発生します。
例えば、大型航空機であるB777などの場合は、後方10kmくらい、
航跡の下方500~1000ftまで1分間以上も持続します。
また、一般的に重量が同じなら回転翼機の方が大きい後方乱気流を生じます。

参考:NASAによる後方乱気流実験




後方乱気流が原因で発生したオスプレイの事故調査報告書



では、なんで事故が起きたのか・・

オスプレイには、ヘリコプターモードの編隊操縦マニュアルに制限を設けています。

「1番機の後方150度~210度の方向には位置しないこと」
「1番機の後方を横切る際には1番機より50フィート以上上方に位置すること」
「降下旋回中には1番機の後方を横切らないこと」

これらについて、ことごとく違反する操縦をすれば落ちて当たり前。

ちゃんとマニュアル読んだのかよ・・・・?

これが事故の原因です。

-----------------------

と、いう訳で、色々とオスプレイの事を調べてみて・・率直な感想ですが、
何処にも「欠陥機」と言われるほどの構造上、空力上の問題点は見つかりません。

要は・・・現在までに起きているオスプレイの事故は、ほぼ、すべてが人的要因、
人為的なミスが原因です。

だからと言って、「オスプレイが普天間基地に展開されても、な~~んにも問題ありません。」
と言うのでは、ありません。

その全く、逆・・・・つまり、

「オスプレイを戦略上の理由から普天間に展開しなくてはいけないなら、
パイロットは少なくとも完熟している事、V22での飛行1000時間以上、作戦参加2回以上、
整備士も、オスプレイを専攻して完熟試験をパスした者でなければ、
オスプレイは市街地上空を飛行すべきではない。」

さらに、

「初等訓練は米本土の砂漠地帯のような、緊急着陸訓練を実地で行える場所で、
密度の高い訓練をすべきである。」

というのが、自分の持論です。

要は、このオスプレイという航空機が、パイロットにとっても整備士にとっても、
飛行機と回転翼機の両方の特性を熟知した上で、
その行動、反応のすべてを瞬時に判断しなくてはいけないという、
「新しいタイプの航空機」だからに他なりません。

決してオスプレイ自身は「欠陥機」でも「殺人機」でもないんです。
逆に「適切に扱いさえすれば」安全性の高い機体とも言えます。

ただ、こういう「新しいもの」に人間の側が追いつくには時間がかかります。

過去にも航空機では、海軍の雷電が同様に「欠陥機」「殺人機」と呼ばれました。
実際には本土空襲が始まる1944年時点でB-29に対抗できる戦闘機は、
日本には雷電と鍾馗しかなかった訳です。

しかし、多くのパイロットは、タキシング中の前方視界の悪さ、着陸速度の高さを理由に、
「殺人機」呼ばわりして実戦配備が遅れ、本当に必要となった時には、
生産技術、パイロットの操縦技術も失われていた。
という、残念な結果に終わっています。

この前方視界の悪さ・・・
航空機でも、車でも、ボートでも・・確かに操縦者へのプレッシャーは相当なモノです。

車で言えば、シボレーコルベット、
それも1980年までのスティングレーで、デイトナノーズなんか付けてたら、
ほとんど前が何処にあるのか判らない、と言ってもいいでしょう。
ボートならVハルのレース艇、アベンジャーあたりでプレーニングに入るまでは、
冗談ではなく、前は全く見えません。
全周視界が良好な事で知られる、パイパー・スーパーカブですら、離陸時に前方の滑走路なんか見えません。

そんな場合は、車だったら前端にポールでも立てて距離感を自分に叩き込む・・
ボートだったら、離岸前に充分前方の安全を確認したうえで、一秒でも早くプレーニングに入れる・・
飛行機だったら、離陸滑走前、着陸フレア前に横方向の視界から充分に自機の位置を把握する・・

操縦士というのは皆そのように、「性能」に見合う運用をするのが努めとも言えます。

そういう意味では、戦時中の日本人パイロットが、あまりにも零戦の操縦性、扱いやすさに頼りきっていた、
という面も見えてくるのですが・・・その話は置いておいて・・・

風・・という自然現象にも、同様の事が言えます。

ある自家用機パイロットさんのブログに、こんな事が書いてありました。

「青ヶ島空港への着陸進入の折、
滑走路に隣接する3本の吹流しが全部別の方向を向いているのが見えた、
最終進入で、フラップ20度、パワーアイドルで滑走路上100フィートの時、横からの突風に煽られて、
コースアウト、場外に流されて接地、事故扱いになってしまった。」

普通なら、「突然の突風なんだから、致し方ないよね・・・」と思うかも知れません。

しかし、自分は、こう思うんです。

「3本の吹流しが全部別の方向を向いているのが見えた時点で、
パワーオン+フラップ30度でランディングすべきだったのに。。」

なぜ、そんな事を思うのか、と言うと・・

パワーオンの降下なら、即時にゴーアラウンドの体制に持っていけるからに他なりません。
進入高度を高めにとって、一気に落として接地させればランディングは多少ラフになりますが、
いきなりの横風にさらされる時間も短くできます。。
今か今かとフレアの瞬間を検討しなくても済みます・・
元々グラブを取って進入すればなおベターです。、

しかし・・・そういう荒っぽい着陸はフライトスクールでやると、大抵怒られます。

反面、軍用機パイロットのほとんどは、このような接地法をとります。

なぜか・・・

風も、周囲の状況も正確に掴み切れない場所に安全に降ろす為には最適な技術だからです。
そして、戦場では弾が飛んでくるからです。
陸自のヘリが、スパイラル・オートローテーションで精密着地させるのにも訳があります。
別に、わざとアクロバットをしている訳じゃありません。

射弾回避をしながら、正確に目標地点に接地、すぐに離陸体制に移行できるようにする訓練です。

ノロノロとホバリングしながら、ゆっくり着地、なんぞしていたら、
「どうぞ撃って下さい。」と言っているようなもんです。

さて、そろそろオスプレイに話を戻しましょう。

オスプレイについて、もっと厳しい事を言えば・・・・

「このような機体は、沖縄で米軍が運用するのではなく、同じ沖縄であったとしても自衛隊が運用すべき。」

と、思うんです。




なぜ、米軍の有名な海兵隊ではなく、自衛隊が運用すべき、なんて事を言うんでしょうか??

軍隊とは何か??

という、根幹に関わる問題だからです。

「自衛隊の存在意義とは、国内に追いては国民の生命財産を、その生命に代えても守るのが自衛隊員全員の使命である。」
「国外に於いては、在外邦人の保護、及び現地一般市民の保護を最優先とする。」

これが自衛隊です。

では、米軍は・・・・?

「自由主義、民主主義における世界の救世主たらん。」

その答えが、先の動画、「13秒後のベイルアウト」と、宮森小学校米軍機墜落事故
の違いなんです。

尖閣諸島、竹島・・・日中関係の「切り札」として、オスプレイが、その性能から沖縄に展開する必要性・・・
というのは、大多数の国民にも理解できる理屈でしょう。

しかし、自分達の暮らす街、そして、その空を誰の手で守るのか・・・・
どんな人々に守って貰うのか・・・そういう問題だと思うんです。

だから、決して、このオスプレイの問題を「運転免許をとりたての人が街でカローラを運転する話。」
と同じレベルで考えてはいけないんです。

自分が、各マスコミ、識者と言われる人々のコメントに違和感を感じるのはその点なんです。

「そんな論法じゃあ、誰も解ってくれないってば・・・・」という気持ち。。

あ~~~・・・久しぶりに長文だったな・・・( ̄o ̄;)ボソッ





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この記事のコメント

偶然見つけたのですが、もう何を言ってよいのか、わからないほど感動しております。

私は、航空機や航空力学の事は全くわからないど素人ですが、説明も非常にわかりやすく、大変参考になりました。

2014-07-14 Mon 14:38 | URL | [ 編集]
https://www.youtube.com/watch?v=RXZAfYrMYko
おいおい災害現場にこんなのが来たらたまったもんじゃないだろう。現に屋根吹き飛ばしてるし...
2015-05-08 Fri 05:46 | URL | [ 編集]
> https://www.youtube.com/watch?v=RXZAfYrMYko
> おいおい災害現場にこんなのが来たらたまったもんじゃないだろう。現に屋根吹き飛ばしてるし...
>コメントありがとうございます。
本文を読んで頂ければ解ると思いますが、
離発着時の吹き下ろしは回転翼機の重量次第なので、
大型ヘリであっても同様の吹き下ろしは発生します。
そのため、自衛隊などでも、災害現場での直接救助ではUH-1など、もう少し小型の機体を使用して、オスプレイやバートルなどの大型機は現場から少し離れた場所への人員、機材の輸送、または生存者の迅速な搬送などに用いるのが一般的な運用ですね。
2015-05-09 Sat 03:48 | URL | 管理人 [ 編集]
よい情報をありがとうございます。
SNS等で紹介させてもらってもよいでしょうか?
2016-12-20 Tue 01:17 | URL | た七 [ 編集]

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