機械バカ一代

機械モノおたくのたわごと。

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Piaggio Pegna P.C.7

Piaggio P.C.7

さて、今回のネタはPiaggio Pegna P.c 7です。

まぁ、この飛行機を知っている人は、かなりの航空機マニア・・もしくはシュナイダー・トロフィーおたく。
しかし、本国イタリアでは、「これぞイタリアン・デザインの金字塔」みたいに言われています。

( ̄ヘ ̄;)ウーン・・・

σ(⌒▽⌒;) ボク・・には、どうしても。。

運用する人間を完全に無視した、イタリアン・セン○リ・デザインの典型にしか見えません。。
そもそも、そのコンセプト自体が、完全に間違っている、にもかかわらず、イケイケで作ってしまう、
という現代のイタリアン・デザインにも受け継がれる悪習を具現化してしまった稀有な例として、

いったい、何がそんなに駄目だったのか・・・?

を検証してみるのも機械オタクとしては面白い・・・・
まずは、そのコンセプトから・・

(Wikipediaより)

空中では空気抵抗となるだけの水上機のフロートをなくして速度をえるために、
ボート型の胴体の肩翼形式の主翼を取り付け、モーターボートのようにスクリューで加速し、
水中翼によって胴体が浮き上がった後、クラッチで胴体先端のプロペラに駆動力を切り替えて飛行しようという構想であった。
ピアジオのエンジニア、ジョバンニ・ペグナが設計した。
1000馬力のイソッタ・フラキーニのエンジンが機体後部に装備されて、
可変ピッチプロペラがクラッチと延長シャフトを介して駆動する構想であった。
フロートの抵抗と重量がなくなることにより、600km/hから700km/hの速度がだせると予測した。

PiaggioP7Pinocchio_130708.jpg


まぁ・・発想自体は・・なんとなく納得できる気もします。

しかし、このジョバンニ・ペグナさん、

ボートの設計に関しては、全くの素人だったようですね・・・
水面を「個体」だと見立てて絵を書いてしまいました・・
これが、すべての間違いです。。それ以上でも以下でもありません。。

だと、話が簡単に終わり過ぎちゃうので、

実際に、これを飛ばせる手順なんかを脳内シュミレートしてみましょう・・

【まずは離水】

水面に主翼まで密着した状態から、エンジンを始動、スクリューへのクラッチを繋いで滑走を開始します。

エンジンの回転を上げ、プレーニングに入ります・・・が、
この時、尾翼のエレベータは、トリムタブの役目を果たします。
つまり、プレーニングに入れるまでは操縦桿を前に倒しフックをかけながら、
プレーニングに入ると操縦桿を引いて、最適なトリム位置を探さなくてはいけません。

また、プレーニングに入った途端、周りは何も見えなくなります。
プレーニング前でも、そのロングノーズのスタイルから前はほとんど見えませんが、
プレーニングして機種上げ姿勢になると、前はもちろん、横方向も水中翼からのスプレーで何も見えません。
辛うじて、真後ろは見えますが、そこには大きな尾翼が鎮座しています。
見えるのは上だけです・・・・・orz

さて、このプレーニング中に方向を見極めるのに使えるのはコンパスのみです。
滑走に入る前に見極めていた方向に向かって、ひたすら加速します。
機体の仰角を見るには、姿勢計を見るしかありません、概ね機種上げ10度を維持します。

こうして機首プロペラの回転半径が水面を叩かない角度に達したら、
いよいよプロペラへのクラッチを繋ぐわけですが・・・

ここで大事な事があります・・・・・
スロットルは、全開になっていてはいけません。。余裕を残してプレーニングしていないとイケないんです。
これは、機首のプロペラを回した瞬間にトルクを食われるので、クラッチを繋ぎながらスロットルを開けて行かないと、
プレーニングが維持できずに、回り始めたプロペラは水面を叩きます・・・

つまり、滑走から離水に至る手順としては・・

コンパスを見て方向を決めたら、両足のペダルでラダーを操作しながら、操縦桿を前後に動かしてピッチを決める、
操縦桿を左右に操りながらロールを決めて、姿勢計を見ながら、神に祈って・・・
機首プロペラのクラッチを繋ぎながらスロットルを全開に・・・
無事、プロペラは水面を叩かず回り始めたら、機首上げ姿勢を維持したまま100ノットほどまで加速・・
操縦桿を引いて、水を蹴って離水します。
そして、そのままの姿勢では失速墜落してしまうので、高度計を見て、
100フィートほど上昇した所で機首を落としてさらに加速・・

・・・タコのように手が8本もあれば別ですが・・・・

・・・人間技じゃあ・・無理。

実際に、Tommaso Dal Molinさん、というパイロット以外は操縦を拒否してます・・・orz

さてさて・・・・・・・普通の水上機だって、腕の差が一番出るところ・・・

構造その2


【着水の手順】

この機体には、フロートがありません。。。。
(見りゃわかるってば・・)

おまけに、この時代(1920年代)の航空機にはフラップもありません・・
さらには、速度を追求するあまり、この小さな楕円翼です。

着水速度=Vso(ストール速度)は、時速180km/h(95kt)ほどでしょう。

さあ、ファイナル・アプローチから手順を考えてみましょう。

意外な事に、離水の難しさに比べて、着水の手順はそれほど複雑ではありません。。
ただし・・異常なほど精密さが要求されます。

ファイナル・アプローチは、目標水面を目視する事から始まります、
機首を目標水面に向けたら、対気速度計に注意しながら・・除々にスロットルを戻します。
降下率を上げる為には、いわゆるグラブを取って機体を横滑りさせます・・
目標水面の手前1000メートル、高度差200フィートに達したら、
機軸を中央に戻し、機首上げ8度(くらいかな?)を維持、スロットルを開けて速度をVso以上に維持します。
速度をVso以上に維持しながら降下率を5ft/sec程度で降下します。

当然、この姿勢で前は見えませんが、左右は見渡せます。
目視で、着水寸前(水面から50cmほど)まで降下したら、スロットル全閉、
機首プロペラの回転を止めて(水平位置で停止を確認)スクリューへのクラッチを繋ぎます。
一気に操縦桿を引いて機首上げ10度以上の姿勢で接水します。

接水後、即スロットルを入れてピッチを調整・・・除々に減速停止します。

と言えば簡単そうですが・・
接水の瞬間、完全失速に入っていないと、バルーニングして再び空中に跳ね上げられます。
そして、この時の速度は、失速速度以下になっているため、ピッチの制御が出来ず。
機首から着水する事になり、見事に前転・・・・ナンマンダブ・・・

接水時の機首上げが強すぎたり、スクリューへのパワー伝達を忘れたりすると・・
尾翼まで水没して、急激なブレーキがかかり、見事なバック転・・・・ナンマンダブ・・・・

要は、接水角度と速度の要件は、非常に厳しい。。。。

しかも、これは鏡のような平水面でのお話です。少しでも波やうねりがあったら、
その波の間隔や、うねりの角度を読んで、接水直前に補正しなくてはなりません。。

これが、どの位危ない事かは、パワーボートやジェットスキーで時速100km/h以上出した事のある人なら
簡単に判る理屈なんですけどねぇ~~~

まぁ・・・こんな着水がシュナイダー・トロフィーのレース会場で出来たら・・
天才としか言いようがありません。。

【だからね・・・】

結局、上記Tommaso Dal Molinさんでも、ガルダ湖で水上滑走を行っただけで、
「こりゃ、駄目だぜ・・・・」とプロジェクトはお蔵入りしてしまいます。

滑走試験中~~

試験中~~


また、Wikipediaのイタリア語版では、

La frizione che agiva sull'elica posteriore manifestò
diversi problemi in fase di innesto, fra cui copiose
perdite d'olio dentro la fusoliera.

「スクリューを駆動する側のクラッチとユニバーサル・ジョイントに様々な問題が発生し、機体の中にオイル漏れが発生した。」

という記述があり、クラッチなどの周辺技術も、まだまだ信頼性の低いものだった事が伺えます。

まぁ・・・・・Wikipediaのイタリア語版では、この後に、
「これらの問題を解決する時間さえあれば・・・・」という記述もあったりで、
工業デザインとしての評価は、今だに高い事を伺わせます。。

確かに、見た目は格好いい・・・そして「空に上る事さえできれば」きっと速度も出せた事でしょう。
しかし、操る人間の事を完全に無視した結果、誰も乗りたがらない、
只のセン○リ・・・・になってしまったという。

今の某イタリア二輪メーカーの設計者さん達には、是非見習って欲しいデザインです。

・・あ~あ、言っちゃった・・・・・( ̄o ̄;)ボソッ
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